著者名:ウィリアム・ボールドウィン他
編・訳:大久保ゆう
定価 | 2,200円(税別) |
判型 | 四六判 |
頁数 | 232ページ |
発刊 | 2025年3月28日 |
ISBN | 978-4-910681-00-9 |
Cコード | 0097 |
装丁 | 廣田萌(文京図案室) |
内容紹介 | 英語で初めて書かれた小説といわれる、 16世紀イギリスの怪奇譚「猫にご用心」。 「猫には九つの命がある」という伝承の出典ともされている知る人ぞ知る物語が、 翻訳家・大久保ゆうさんによる完訳版としてよみがえりました。 歴史に埋もれた怪奇小説が、本邦初の書籍化です! 猫たちの会話を理解しようと、 主人公・ストリーマ氏は動物の言葉が分かるようになる秘薬を作り出すのですが……。 現実と噂話が錯綜しながら、魔術や宗教の話題が入り乱れ、 人間たちの滑稽な姿が猫の目を通して描かれる世にも不思議な怪奇小説「猫にご用心」。さらに、そこから派生した知られざる猫文学も同時収録。 すべての作品に共通するのは、グリマルキンという猫のキャラクターです。 シェイクスピアからゲゲゲの鬼太郎やファイナルファンタジーまで、 時代と場所を超えてさまざまな作品に登場する「猫の王様・グリマルキン」とは? 「猫にご用心」で初登場したといわれるグリマルキンは、なぜ現代にも生き続けるのか? 奇書と伝承の謎を追う大久保さんのスリリングな解説も巻末に収録しています。 読んでまさに愉快痛快な“猫文学”アンソロジー、ここに誕生!! |
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目次 |
まえがき ・『猫にご用心』(1553年)ウィリアム・ボールドウィン ・「猫の王様」伝承篇 「猫の王様」の噂を伝える偽作書簡の抜粋(1780年頃)ウィリアム・クーム 詩篇「猫の王」(1800年前後)ジョン・ダンロップ 「猫の王様」(1908年)マリオン・フローレンス・ランシング編 ・「猫の王様」物語篇 『猫のアラビア夜話――グリマルカン王』(抄)(1881年)アビー・モートン・ディアズ 「猫王グリマルキン伝より」(『モフモフ民の伝記集』収録)(1910年)モード・D・ハヴィランド 解説 訳者あとがき |
著者紹介 | <編・訳> 大久保ゆう(おおくぼ ゆう) 1982年生まれ。翻訳家。研究者〈大久保友博〉としての専攻は翻訳論・翻訳文化史、現在は一橋大学言語社会研究科講師、博士(人間・環境学)。16歳から青空文庫に翻訳作品を発表、大学院在学中からフリーランス翻訳家としても活躍。文芸・大衆文化・美術関連の翻訳や著作権についての批評も手がける。訳書に、スコット・L・モンゴメリ『翻訳のダイナミズム│時代と文化を貫く知の運動』、アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』等多数。 <著者> ウィリアム・ボールドウィン(1526頃―1563) 作家・編集者・説教者。若いころはロンドンで印刷工をつとめながら、出版用の原稿も執筆し、翻訳も行った。英文学史上では、シェイクスピアの種本にもなった『為政者の鑑』(1559)の編著者として知られ、今作『猫にご用心』にも登場するフェラーズ氏と共同でこの本の編集作業を行っている。エリザベス女王の戴冠後は出版の仕事をやめ、聖職者となって説教活動に励んだという。一五六三年のペスト大流行に際して死没。 ウィリアム・クーム(1742―1823) 風刺作家・編集者。イギリス18世紀に大勢いたいわゆる三文文士のひとりで、偽作執筆や筆禍も多く、幾度となく獄中生活を送っている(そのあいだ債務者監獄から許可が出た日に『タイムズ』へ出社して記事を書いたりもしていた)。一連の風刺画に寄せた詩にちなんで〈シンタックス博士〉とも呼ばれる。 ジョン・ダンロップ(1755―1820) スコットランドの名士。商人から身を立てて、のち徴税官や行政長官を歴任し、最終的には大都市グラスゴーの市長となった。唱歌を得意とし、自身でも詩や歌を作る陽気な人物であったという。その歌「ゆく年へ乾杯」は年末年始のスコットランド唱歌として今も愛好されている。 マリオン・フローレンス・ランシング(1883―1966) 作家・歴史家。ハーバード大学の別館となる女子大学として創設された名門ラドクリフ・カレッジの出身で、修士号を得たのち、長年にわたってケンブリッジ歴史協会の一員として欧米の尚古を探求した。 アビー・モートン・ディアズ(1821―1904) 作家・教師。シングルマザーとして教師業のかたわら家政婦や女工としても働くうち、女性権利運動の必要性を感じて、ボストンで女性教育と女性労働者のためのユニオンを創設している。作家業でも健筆をふるい、児童文学や家庭生活・信仰生活などについての著作がある。 モード・D・ハヴィランド(1889―1941) 作家・博物学者・探検家。幼いころから野鳥や野生動物・昆虫を愛好する人物で、若くして人類学者の探検旅行に同行したのち、博物学的な随筆や小説で人気を博した。のちケンブリッジ大学であらためて動物学を学び、昆虫と鳥類の専門家となって諸国をめぐった。 |